鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ベスト・オブ・映画欠席裁判」

・ベスト・オブ・映画欠席裁判
著者:町山智浩、柳下毅一郎
出版:文春文庫



「映画秘宝」出身の映画評論家二人が、対談形式で公開された映画について好き放題語り合う作品。
元々は連載中から3巻出版されたものからピックアップして一冊にまとめたもののようだ。


まあ面白い。
それでいて、好き勝手に言ってるけど、結構スタンスには一本筋が通っていて、一般的な映画評論家がスルーしがちなエンターテインメント映画を中心に、骨のある評価をしている。
映画会社のご機嫌伺いでもなく、斜に構えた文芸評論でもなくね。


と言うわけで、本書については読んで楽しめばいい。
所詮は好き・嫌いだから「合う」「合わない」はあると思うけど、「オススメ映画」のレベルは揃ってると思うよ。
エンタメ系が多いから、「楽しめる」ってのもあるしw。


むしろ僕が本書を読んで思ったのは、
「こういう評論の内容が、今じゃ『異端』に読めないなぁ」
ってこと。
これは正にこの二人が道を開いてきたからかもしれない。
でもそれ以上に、「権威」「正統派」であった映画評論がガタガタになってるってことじゃないかなぁ。
あとネットの影響も大きいね。
ブログなんかの「映画評」はこう言うノリのが多いからw。


でも権威が失墜しちゃうと、サブカルのポジションも難しくなっちゃうんだよなぁ。
下手したらサブカルが権威になっちゃったりして・・・。
これはこれで困ったもの。
権威との距離感にこそサブカルの妙味があると思うんですが。


とか言って、 今さら「蓮實重彦をもう一度」ってもんでもないし。
これはこれで、こういう時代を生きていくしかないのかな?



たかが「映画評」にそこまで言うこたぁない?w