鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「浅草芸人」

・浅草芸人 エノケン、ロッパ、欽ちゃん、たけし、浅草演芸150年史
著者:中山涙
出版:マイナビ新書



本書について水道橋博士は、「小林信彦の『日本の喜劇人』をフォローする作品」みたいなことを言ってた(またもや「キラキラ」だがw)。
うーん、分からなくはないけど、僕の印象はチョット違う。
「日本の喜劇人」と絡めるなら、「『日本の喜劇人』を『浅草芸人』という視点で整理し直した作品」って感じじゃないかなぁ。
カバーする範囲も、クレイジーキャッツやフランキー堺、ドリフターズと言った浅草芸人以外も取り上げた「日本の喜劇人」より狭いしね。
「その後」をフォローしたというには、欽ちゃん・たけしのパートの分量はやはり少なすぎると思う。


とは言え、「日本の喜劇人」はもう数十年前の作品。
こういう形で新しく捉えた作品が出てくるにはいい塩梅だと思う。
メディアのあり方が問い直されるようになり、安易なバラエティーの制作に批判の声が出ているタイミングで、「芸人」という原点を問うって意味合いでも悪くないんじゃないかな。
テレビに依存しすぎた「タレント」の跋扈が今の事態を産んでるって側面もあるだろうからね。
(「芸人」と言うアイデンティティを強く意識することで、テレビに・バラエティーのという束縛からはみ出て来れば面白いことが起こるような気がするんだけどなぁ。
「ネット」という新しいメディアも活用できる土壌があるしね)


ただそういう意味でも「テレビ時代」についてもっと踏み込んだ話を聞きたかった。
まあそれは「別の話」ってことかもしれんけどね。
(「次に期待できる」ってことでもあるか)


まあ読みやすいし、「へぇ」って話も結構ある。
「お笑い」好きにはオススメの一冊です。