鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」

・グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ
著者:デイヴィッド・ミーアマン・スコット、ブライアン・ハリガン 訳:渡辺由佳里 監修・解説:糸井重里
出版:日経BP社



僕のグレイトフル・デッドの事前知識。



・アメリカのバンド
・ヒッピームーブメント
・うるさい
・演奏が長い
・ヒット曲がない
・ずっと現役
・ライブで儲けてる



まあこれくらいの知識でよく読む気になったなぁ、とw。
直接のきっかけは日経の書評なんだけど、その前から本屋で気にはなってたんだよね。
なんせ装丁が気になる作りなもんで。
で、書評を読んで、最後のヒト押しされたわけ。



内容はしっかりビジネス書ではある。
グレイトフル・デッドの特異なビジネスモデルを、現在のソーシャルメディアやそれを活用したビジネスなんかと重ね合わせると、実は先駆的なビジネスモデルを彼らは作り上げてんだってことが論じられている。
録音自由なライブなんか「フリー」を先取りしてるし、中間業者を介さないビジネスは正にネットビジネスの原型(それをインターネット登場前にやってたってのがスゴい)。
ファンクラブ・会報を通じたファンとの交流は、ソーシャルメディアを活用したブランディングや顧客囲い込みと全く同じ構図だ。
グッズ業者とのコラボなんかも、アウトソーシングの理想的な関係と言ってもイイだろう。



こんな風にグレイトフル・デッドのビジネスモデルが現代に活きてることを考えると、ネット文化って正にヒッピームーブメントの延長線上にあるんだなぁと思う。
現実社会において、ヒッピームーブメントは挫折したとも捉えられてる面があると思うけど、視点を変えると、「なかなかどうして」ってとこかなw。



個人的にはファンとの関係性を築き上げ、重視する彼らのビジネスモデルが興味深かった。
ソーシャルメディアが生活に食い込んでくるのつれ、こういうビジネスのあり方が重要になってくるんじゃないかなぁ、と。
まあ何でもかんでもって訳じゃないがね。



と言うわけで本書は立派なビジネス書になってるんだけど、実は熱烈な「グレイトフル・デッド」賛歌でもある。
だってこのビジネスモデルが成立してるのは、「グレイトフル・デッド」に強烈な魅力があればこそ、だからね。
コレだけの成功を収めながら、なぜ音楽シーンで彼らを真似し、同じような成果を上げる者が続かなかったか?
それはやはり、核となるコンテンツの魅力の差であろう。
決してビジネスモデルが成果を約束してくれる訳じゃないんだ。
このことは忘れちゃいけない。



で、本書の読了後、iTunesでデッドのライブ盤を一枚購入。
どっかで聞いてみようと思ってます。
そのうちに僕も熱烈なデッドヘッドに…、
はならないかな、やっぱw。