鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ステップファザー・ステップ」

・ステップファザー・ステップ
著者:宮部みゆき
出版:講談社文庫



TVドラマ化と言う情報を知って、
「そういや、読んでなかったな」
と購入。
宮部みゆきの初期作品ですな。
表紙が「荒川弘」になってて、地下鉄で小学生にジロジロ見られちゃいました。
マンガじゃないんだよー。(まあ近いかもしんないけど)


一言で言えば、「ユーモア・ミステリー」。
そのつもりで作者も書いてるし、この作者だから外しはしない。
むしろ不満と言えば、あんまりにもジャンルに忠実なことくらいかなw。
まあこれも「今」の時点での「宮部みゆき」を知ってるが故の不満だけどね。
「そういうもん」 と思えば、十二分に楽しめる内容だし、水準も高い。
今までTV化されてなかったのがチョット不思議なくらいw。


とは言え、「らしさ」の片鱗はあるかな?
一番は主人公たち(泥棒&双子)が「現状」の危うさを認識してるところ。
こう言う軽いシリーズものの場合、設定が固まったら登場人物はそのパターンに安住するのが普通だと思うんだけど(それでマンネリになるんだけど、質が高い作品はそれが「心地良さ」 につながる)、この主人公たちは「終わり」を意識して振舞っている。(連作の後半の「隠し味」になってるくらい)
ジャンルに忠実でありながら、この感覚が本書に一抹の不安定感を紛れこませてるんじゃないかな?
こう言う作品の場合、続編が書かれるのが普通だと思うけど、本作の続編が発表されないのも、そこらへんに起因するんじゃない?
この作者の場合、そこに素知らぬふりをして、同じような展開を繰り返すには、誠実すぎるように思う。
(その時は、多分この双子たちの両親の背景はハッピーなままでは置かれないんじゃないかって気もするんだよね。
考えすぎかもしれないけど)


続編が期待される作品。
これは間違いない。
でも続編がないからこそ、ハッピーに読める作品、
かもしれないなぁ、なんて思ったりもする訳。


TV化を契機に、案外アッサリ続編が発表されちゃうかもしんないけどねw。


(ここまで書いて、Wikipediaを見たら、どうも続編は書かれてるけど、単行本化はされてないってことらしい。
これは作者の判断によるものらしいんだけど…。
ふむ…?)