鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「陽だまりの彼女」

・陽だまりの彼女
著者:越谷オサム
出版:新潮文庫



読み終えて、家に帰り、早速ビーチボーイズの「ペットサウンズ」から「素敵じゃないか」を聞いてみた。
ビーチボーイズらしい、陽気でハッピーな曲調。
でもそこに幾ばくかの「哀しみ」を聞き取ったのは本書の影響かもしれない。
もしかしたら、ハッピーな曲を求める人のココロにこそ「哀しみ」は寄り添っているのかもしれないネ。
(しかしコレって鼻歌には向かないような曲のような気もするけどw)


本書は週末の日経書評欄で紹介されてたのを読んで手に入れた。
年末年始に読んだ小説がチョット重目のものが続いてたので、少し気楽に読めるものが欲しかったんだよな。
そう言う意味では「目論見通り」。
文体や内容的には「ライトノベル」に近いモンだと思うよ。
僕はラノベも評価してるけど、それでも本書を「ミレニアム」シリーズや「ジェノサイド」と同列に論じるのには少し気が引ける。
ああした骨太の傑作とは本書は確かに一線を画していると思う。


でもだからって、本書が好ましい佇まいを持った作品だと言うことを否定することにはならないだろう。
色々留保はつくんだけど、読んでる最中のフニャフニャ感もw、読後感の軽みのある良さも僕は好きだね。
ダメな人はダメだと思うけど。


作品のジャンル・タイプを論じただけで 読書の面白味を削いでしまう可能性があるのであんまり書けないけど、「表紙買い」はアリかも。
文庫版の表紙は(内容には関係ないんだけど)作品の雰囲気をよく抑えてると思うな。
この表紙が好きなら、小説もOKなんじゃないすかね。


もちろん、ビーチボーイズ・ファンにもオススメです。