鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ジェノサイド」

・ジェノサイド
著者:高野和明
出版:角川書店



昨年の「このミス」他の年間ベスト特集で、国内ベスト1をさらった作品。
先に妻が読んだんだけど、こちらの感想も上々。
と言うことで、期待値上げて読ませていただきましたw。
その期待を裏切らない出来。
なるほど、「ベスト1」。


前半は何やら「致死ウイルス」との対決を思わせるサスペンス的展開を見せながら、中盤でストーリーの枠組みが一転し、終盤はスケールの大きい、手に汗握る「追いかけっこ」になる。
その骨太なストーリーに、「人類」の存在に対する厳しい考察を加えつつ、ラストでは「希望」も見せてくれちゃったりするんだよねー。
( 「人類」=「虐殺(ジェノサイド)するヒト」と言う厳しい視点に立ちながら(その証拠が作中ではふんだんに提示される) 、読後感が悪くないのは特筆すべき。
ま、途中は結構陰惨な展開になったりもするんだけどサ)
ネタばれになっちゃうから、あんまり語れないけど、作者の目線はかなり高く、それに見合うだけの力量を示してくれた作品と言えるだろう。


(作品の底調には「父と子」というテーマも流れている。
これがまた個人的にはピンポイント!w)


この作者の「13階段」は読んだと思うんだけど、こんな傑作を書く作者としての認識はほとんどないんだよなー。
作者が化けたのか、僕の見る目がないのか。
いずれにしてもコレは嬉しい誤算。
次作が楽しみな作者が現れたことは間違いないと思う。


「ベスト1」は営業上のモンじゃないと思うよ。
コレは。