鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「パブリック」

・パブリック 開かれたネットの価値を最大化せよ
著者:ジェフ・ジャービス 訳:関美和 解説:小林弘人
出版:NHK出版



<1.生まれた時すでにこの世に存在したものはすべて、当たり前である。



2.三〇歳までに発明されたものはすべて、ありえないほどエキサイティングでクリエイティブであり、運が良ければそれを仕事にできる。



3.三〇歳以降に発明されたものはすべて、自然の摂理に反する、文明の終わりの始まりである。本当に問題がないことが次第にわかってくるまでに、だいたい一〇年くらいかかるからだ。 >(作家ダグラス・アダムスの引用。P.102-103)



僕が初めてPCを買ったのが20代後半。
Webの始まりが90年代前半だから、ネットを利用するようになったのは30代半ばからかなー。
上の定義だとギリギリ「2」か「3」だよね。
従って僕より前の世代の人は「3」の立場になるわけだ。
今の日本社会を動かしているのは僕の上の世代だし、社会の枠組みそのものも、その世代に合わせて作られ、運営されている。
ネットに対するネガティブな反応が強いのも、まあ当然かな。
ここら辺、アメリカとはだいぶ違うよ。


本書に関して、僕はもっと「軽い」内容を事前には予想していた。


クラウドやデバイスを活用してライフスタイルや意見・思想をオープンにする「パブリック」のあり方を紹介して、それを実行するためのツールを具体的に紹介する。
併せて「パブリック」の社会的意義についても幾ばくか言及…みたいな感じ?


読んでみたら、ずっと「重い」内容なんだよね、コレが。
「パブリック」とは何か?
その意義はどこにあるのか?
この点を「プライベート」「プライバシー」との兼ね合いの中からあぶり出してくる。
言ってみればそんな内容だ。
そこではプライバシーやパブリックの歴史的な変遷が紹介され、歴史上や社会上の「パブリック/プライバシー」のあり方が解説され、現代における状況と可能性が論じられている。
もちろん具体例や個別のツールやサービスへの言及も豊富にあるんだけど、全般的な印象は「思想論」を読まされたような読後感かね。
それはそれで興味深かったんだけど、事前の思い込みとのギャップが大きかったんで、ちょいと戸惑いもしましたw。


僕自身はブログをやってるし、FacebookとTwitterのアカウントも持ってる。
有益な情報をオープンにしてるとは言い難いけどw、まあ「パブリック」の力は信じたいと思ってる。
…一方で情報をコントロールされることに対する怖れも抜き難くあるのも事実だけどね。
ここら辺は世代かね。
作者も指摘してるとおり、
「知られてどうなるの?」
ってのもあるんだけどさ。
まあ「オープンにすることに対して意識的であること」。
基本はここかな?
デフォルトのスタンスを「パブリック」寄りに置きたいってのが個人的にはあるけど。
コレはかなり「思うとこあって」、だ。


今の時代を考え、ネットにおける自分の立ち位置を定義する上において、賛同するにせよ、反対するにせよ、本書は興味深い視点を与えてくれると思う。


「やわ」じゃないけどねw。