鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「パーソナル・プラットフォーム戦略」

・自分をプラットフォーム化する仕事術 パーソナル・プラットフォーム戦略
著者:平野敦士カール
出版:ディスカヴァー携書(電子書籍)


自分の目標を掲げ、
利他的な関係で構築した人間関係から助けを受けることによって、
独力では達成できない自分の夢を実現する。


「パーソナル・プラットフォーム 」あるいは「ひとり社長」ってのは、一言で言えばこんな感じかなー。
「個人の能力」を超えたところにある「夢」を実現するために、他人を巻き込んで課題をクリアして行くって言ってもいい。
その基本には「利他」の精神があり、その過程で「人間力」が養われて行くことが視野に入ってる辺りが、単なる「目標達成スキーム」に収まり切らないところかも。


読みながら僕が連想したのは「器」。
あるいは「神輿」でもいい。
日本のリーダー像の一つの典型と言えますな。
最も有名なのは「西郷隆盛」だろう。
西郷どんも若い頃は血気盛んなキレものだったらしいが、長じるにつれ、「器」の大きなリーダーとなった。
その晩年の悲劇は、ある意味「神輿」に徹した故なんだけど、そのことによって日本的リーダーとしての西郷隆盛は完成したとも言えるんじゃないかね。
ここら辺の機微は合理的には説明し難いんだけどねぇ。


「器」を大きくして人を招き入れ、最後の責任を取ることで、「器」の中の人に存分に能力を発揮させ、現実を変革する。


西郷隆盛的リーダー像をこんな風に整理すると、パーソナル・プラットフォームとの共通項が強く浮く上がって来る。
その差異は「目的意識」の強さじゃないかな。
パーソナル・プラットフォームにおいては、「夢」や「目標」はプラットフォーマーが掲げてるけど、「器」はそれすらも預けてしまうようなところがあるからね(西郷隆盛の最期のように)。
ま、「人間力」と言う視点を持ち込むと、パーソナル・プラットフォームも「器」の概念に近づいて来る印象もあるんだけど…。


本書の考え方は「チームアプローチ」あるいそこにおけるリーダーシップのあり方にも近いものがある。
ただプロジェクトよりの考え方である「チームアプローチ」に比べると、本書の考え方は「人間のあり方」に通じる色彩が強いと思う。
その分、切れ味が鈍くなってる面もあると感じるけど、「人間」 を考える時、これは仕方がないだろうね。


日本的リーダーシップを新たな視点で考える。
案外、そんな風に読むのが正解かも。
結構楽しんで読みました。