鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

誠実さを感じる映画ではあるかな:映画評「孤高のメス」

確か原作が5、6冊になる長編のはずなんで、どんな風にまとめたのかなと思ってたんですけど…。
原作の長さを感じさせない作品でした。
詰め込んでバタバタになってるのかと思いきや、前半なんかノンビリペース過ぎて、先の展開が心配になるくらいw。

「孤高のメス」


主人公の誠実さに沿うような誠実な脚本…ってとこ?
奇を衒わない展開は、「地域医療の底上げをはかりたい」って主人公の願いにも沿っています。
移植を決断する母の心情なんか、グッと来ましたよ。



まあでも後半はもっと起伏が欲しかったですけどね。
主人公が去って行く背景に今ひとつ切実感がない。
一番の原因は「悪役が弱い」ってことでしょう。
生瀬勝久は楽しそうに演ってるけど、所詮は小物。
もっと大きな社会的圧力を体現するようなキャラ・展開が欲しかったですね。
長編をまとめた弱点がこういうとこに出たのかもしれません。
隆大介なんか、何で出てきたんだか、よく分かりませんでしたからw。


そういう意味ではもっと「回想」という形式を活かして欲かった気がします。
後味のいいラストに活かすだけじゃなく。


傑作とも秀作とも言えませんが、嫌いになれない作品でした。
テレビ制作の映画としては悪くないんじゃないでしょうか?