鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「絵になる子育てなんかない」

・絵になる子育てなんかない
著者:養老孟司/小島慶子
出版:幻冬舎



「子どもは自然、子育ては手入れ」


この養老氏の言葉で、完璧を押し付けられる子育ての苦しさから救われたと言う小島氏の熱意によって生まれた対談本。
…なんだけど、何か微妙なズレも感じるんだよね。
「イクダン」をめぐるやり取りなんか、「真っ向否定」って感じすらするくらいw。


思うに、「名言」を名言とするのは、結果的には受取手次第なんじゃないか、と。
時には言い手が思わぬ意味でそれが相手に伝わることもあって、それが混乱や行き違いを産んだり、時には新しい「意味」を展開したり…。
本作も養老氏が意図した以上の深い意味合いで小島氏に伝わったってとこがあるのかもね。
何となく「困ったなぁ」感も養老氏には感じられた。


まあ小島さんの「子育て」 の本気度は高いし、かなり先鋭的だと思う。
お受験をする親子も「子育て」感度は高いけど、それに批判的な親子も、 意識的である分、実は感度が高い。
「お受験はともかく、中学受験は検討の範疇」
って僕なんかは、結構中途半端ですなw。


実は保守的な養老氏と、子育て感度の高い小島氏の対談は、何となく隔靴掻痒なところもある。
でもそう言うところが「社会」としては当たり前。
「あー、そうだよねぇ。あなたの言う通り!」
みたいなのはチョット気持ち悪いし、案外そこにこそ見落としがあるのかもしれない。
そういう意味じゃ、「イクダン」のようにw二人の意見がすれ違うとここそが本書の読みどころなのかも。


個人的には養老氏のご両親との関係なんかは知らなかったので、
「なるほどねー」
ってトコもあったよ。
「なるほど、『虫少年』はこんなところから生まれて来るのか」
ってね。


「一次産業回帰」
だけじゃ単純すぎるとは思うけどねぇ。