鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「007 白紙委任状」

・007 白紙委任状
著者;ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子
出版:文藝春秋



「リンカーン・ライム」シリーズのディーヴァーによる007新作。
イアン・フレミングの007をそのまま引き継ぐのではなく、設定を現代にして、キャラクターを蘇らせている。


希代のストーリーテラーよる伝説のヒーローの物語。
となれば、否が応でも期待感は高まるんだけど…。
正直、そこまでじゃなかったかなぁ。
面白くないわけじゃない。
でも期待してたほどじゃ…と言うのが結論です。


キャラクターの現代化はかなり上手く行ってると思うよ。
機能満載のiPhoneを駆使しながら、食事に酒にウンチクたらたらのボンドは、適度なアナクロさを残しながら、風貌は正にあの「ジェームズ・ボンド」。
Mやマニーペニーなどのお馴染みさんも、上手く現代に蘇られてると思う。
この点で不満はほとんどない。


問題は敵役かなぁ。
「結局『金』かよ!」
ってトコがどうも…。
いや、その方がリアリティが増すってのは分かるよ。
実際、ライム・シリーズならこうだろう。


でも「007」だよ?
こう言っちゃ何だが、主人公の存在そのものが現実感から遊離しているw。
そのヒーローと釣り合う悪役という設定だと、多少は非現実感をまとわせないと、アンバランスになっちゃうんだよなー。
悪役の「職業」を考えると、そこら辺、 上手くやれたような気もするだけに、ちょっと残念です。
(非現実=狂気にとらわれた犯人がいないわけじゃない。
でも如何にも中途半端なんだよ)


もう一点は「ボンドガール」。
らしきキャラは3人出て来るんだけど、焦点が集中しない分、印象が薄い。
まあそれぞれに役割は分担されてるんだけど、コレは一人(もしくは二人)に集約した方が良かったように思う。
映画に引っ張られすぎかもしれんけどw。


…とまあ、文句タラタラだけど、これもディーヴァーなれなこそ。
そのことを除けば、決して水準が低い作品じゃない。
「楽しめたか?」
と問われたら、
「YES」。
続編が出たら、まあ読むでしょうね。


リンカーンの新刊の方を「待望」してはいますがw。