鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「武器としての決断思考」

・武器としての決断思考
著者:瀧本哲史
出版:星海社新書



「僕は君たちに武器を配りたい」の作者の新書本。
こっちのほうが先に出たのかな?
僕がAmazonに注文したのもこちらが先だったんだけど、入荷の順番でこちらを後に読むことになった。
まあ、後先が関係する作品じゃないけどね。



前作が「武器」としては、「本当の資本主義」に対峙する上でのスタンスや考え方を論じていたのに対して、本作は「ディベート」と言うスキルを通じて、今度の社会に対峙しうる思考方法を教えてくれている。
そう考えると両者は補完関係にあるとも言えるか。
ま、本書の方がスキルチックではあるけど。
(僕個人は大きな枠組みを提示してくれる前作のほうが興味深く読めた。
でも「使える」のは本書の方かも)


本書に書かれているようなことは、従来のビジネス書だと「ロジカル・シンキング」の枠組みに 含まれてたんじゃないかと思う。
自問自答のように自分自身の中で行われるディベートは、客観性を重視するロジカル・シンキングと重なるのは確かだろう。
ただディベートと言う「他人」とゲーム的に相互批判するスキルを持ち込むコトで、単なる「自問自答を重ねる」と言う説明よりも導きが具体的かつ深くなるってのがあると思う。
「正解ではなく、いまの最善解を探す」ってスタンスも、ディベートのゲーム性を通すことで、より決断のハードルが低くなるってのもあるんじゃないかね。
それは「知識・判断・行動」をつなげるコトにも通じやすい。
ナカナカ面白いし、実に実際的でもあるな…ってのが読後の印象だったよ。


本書の中では同じ星海社新書ながら、他の人の作品である「仕事をしたつもり」に言及してるとこがある。
「へえ」
と思ったんだけど、略歴をみると、作者は星海社新書の「軍事顧問」を務めてる、とのこと。
今のところ僕は星海社新書を2冊読んだことになるけど、ドッチも興味深い作品だった。
若手を想定した作品だけど、若手だけに読ませておくには惜しいかな、と。
それが作者の「軍事顧問」の成果だとしたら、その戦略の全体像はどこらへんにあるのか。
そんなことも気になったりした。


まあ何にせよ、気になる作者、新書が登場したってのは僕にとっては嬉しいコト。
しばらくは愉しませてもらえるかなぁ。