鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「ジョーカー・ゲーム」

・ジョーカー・ゲーム
著者:柳広司
出版:角川文庫



「何かにとらわれて生きることは容易だ。だが、それは自分の目で世界を見る責任を放棄することだ。自分自身であることを放棄することだ」(p.254)



「魔王」結城中佐のセリフ。

この考え方が登場人物たちの行動の根幹となり、虚実を弄ぶ物語を推進させる原動力にもなる。
と共に、日本の軍国主義に対する強烈な批判にもなっている訳だ。

まあその批判はそれほど表に出て来なくて、作品としてはクールなエンターテイメントに仕上がってるけどね。



単行本で出版されたときから気になる作品ではあったんだけど、文庫化を契機に購入。
半日で読み上げてしまった。



もう少し現実の歴史的事件と絡めたスタイルなのかと思ってたけど、もっとフィクションに徹した作りだった。
ここは個人的にはチョット残念。
時代の雰囲気はよく掴んでるけどね。
まあ史実から自由になってる分、フィクションとして「面白さ」を徹底出来たってトコかなぁ。(ちょいと「南京路に花吹雪」を思い出した)

中野学校がどの程度下敷きになってるかは知らないけど…。



作品としては続編があるよう。
文庫になったら勿論読むつもりだけど、我慢できるかなw。

それくらいの出来の作品だったよ。