・プロフェッショナルセールスマン 「伝説の営業」と呼ばれた男の壮絶顧客指向
編著:神谷竜太
出版:プレジデント社
まずは「スゴイ」。
これはもう確か。
プルデンシャル生命のトップセールスで、42歳で急逝した「甲州賢」氏の追悼本。
まあ「セールスマン」としては「スゴイ」としか言いようがないね。
・自分自身への高い目標
・徹底した顧客指向
・そのための弛みない自己啓発
・「成果」をあげるためのシナリオの作りこみ(気合・根性に頼ら
ない)
・自分の仕事への高い誇り・・・etc,etc
個人としての「セールスマン」の一つの完成形を見るような気がする。
ホント、頭下がります。
「セールス」と言うものはどういうものかを知るためには、非常に参考になる作品だと思う。
それを認めたうえで、個人的に思ったことが以下。
一つは「この後」が見たかったということ。
甲州氏は自分自身の夢として「定年までライフプランナーを勤め上げること」を挙げている。
それはそれであるだろう。
でも彼の向上心を考えると、それで収まっただろうか?
組織としてライフプランナーを育てるとか、ライフプランナーを中核とした会社を設立するとか、ライフプランナー視点に立った上で「経営陣」を目指すとか・・・
「個人」という枠を超えた挑戦がありえたんじゃないかと思う。
「セールスの本を書きたい」と言い、後輩の面倒見を非常に良く見た人物だけに、そういう方向性もあったんじゃないかね。
「ライフプランナー」という職業のあり方として、そういう姿も見たかったなと、野次馬的ではあるけど、思ったりするんだよなぁ。
(職を極めるのも、それはそれで尊いんだけどね)
もう一点は「家族」との関係。
奥さんの話によれば、甲州氏が体調を崩してから死去までは少し時間があったようだ。
その間を甲州氏は奥さんの助けを借りながら前進している。
そのパートナーシップには非常に美しいものがあるし、頭も下がる。
「それでも・・・」
と思うんだよね。
それでも、そのとき立ち止まって、違う道を歩く選択肢もあったんじゃないか、と。
これはスゴク難しいことだし、プライベートなこと。
「人生観」そのものがそこには関与している。
だから「何が良かったか」なんてことは他人には言えないってのも分る。
僕自身も言うつもりはない。
ただそういう「選択肢」がありえたこと。
これは彼の後の道を辿る人々のためにも考えるべきなんじゃないか、と。
何にせよ、「営業」にたずさわる者にとって、本書は指針にもなり、ハードルにもなる貴重な作品だと思う。
営業マンなら、是非一読を。