鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「百発百中」

・百発百中 狼は走れ豚は食え、人は昼から夢を見ろ
著者:矢作俊彦、司城志朗
著者:角川書店

矢作・司城コンビの最新作。
前作(「犬なら普通のこと」)から(このコンビにしては)それほど時間が経ってないから、本格的にコンビ復活かな?
ま、あてにはなりませんが(笑)。


基本的には非常に楽しませた貰った。
「苦いラスト」だった前作に比べて本作の読後感は明るく、その割に誘拐トリック等、ストーリーの骨格はしっかりしていて、僕は前作より面白かったな。
「老人達の大活躍」ってのは「どっかで読んだ(見た)ことのあるような」ってプロットではあるが、その「型」の中で如何に楽しいものを作るかってのがエンターテインメント。
その観点からは本作は十分に「合格点」だと思う。


その点を認めた上で「チョット・・・」と思った点。
まず第一は「スケール感」。
前作のときも思ったんだけど、このコンビにしてはスケール感が小さくなってる印象が強い。
確か、このコンビの作品は「矢作俊彦の映画用のシナリオをベースにしていて、予算的に映画化が出来ないから小説にしている」ってトコからスタートしてたように思うんだけど(その真偽はともかくw)、本作については「これなら映画化できるんじゃないか?」ってスケール感なんだよな。
まあ面白い作品なんだからそれでイイっちゃあイイんだけど、「それなら志どおり映画化しなよ」って言いたくもなるんだよ。
(作り様によっては結構イイモンができるような気もするし)


もう一点は「敵役の始末の仕方」。
「殺したりせずにスマートに」
ってのはよくわかる。
そのことがこの作品の小気味良さにもつながってるからね。
でもこういうオチだと、登場人物達は「悪役」たちに手酷いしっぺ返しを食っちゃう可能性が残っちゃうんじゃないの?
老人達はともかく、主人公のコンビは自首しちゃってるんだからね。
暴力団をコケにしたツケはどうなるのか・・・。
そういう意味では(殺さなくても)悪役達をもっと徹底的に叩いておいた方がストーリーとしてはカタがオサマ多様に思うんだけど。


勿論、それが「続編」への布石という可能性もあるけどね(笑)。
主人公のコンビ、なかなかいいキャラなんであったらうれしいなぁって気分もあるし。


どんなもんでしょう。