鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録

天才だが、弱い人間でもある主人公のキャラは悪くない:読書録「天久鷹央の推理カルテⅡ ファントムの病棟」

・天久鷹央の推理カルテⅡ ファントムの病棟著者:知念実希人 ナレーター:高岡千紘出版:新潮文庫nex(audible版) 一作目は、コロナ禍で陰謀論に対抗して積極的に発言をされる作者を応援する気持ちもあって購入して読みました。面白かったんですよね。それ…

戦闘ゲームが題材だけど、殺伐とした話にはならない:読書録「マイ・リトル・ヒーロー」

・マイ・リトル・ヒーロー著者:冲方丁 ナレーター:橋本雅史出版:文藝春秋(audible版) 冲方さんの作品は「天地明察」「光圀伝」あたりは読んでいますが、世評の高い「マルドゥック」シリーズにはまだ本格的には手を出せていません。あ、「月と日の后」は…

これをサブスク(audible)で聴くのは反則?:読書録「店長がバカすぎて」

・店長がバカすぎて 著者:早見和真 ナレーター:知愛 出版:ハルキ文庫(audible版) 吉祥寺にある書店を舞台に、そこで働く20代終盤の契約社員の女性店員を主人公として、「書店」をめぐる現状と課題、現代における<働き方>の困難さ等を題材として、コメ…

「正しさ」に導かれたわけじゃない:読書録「欲望という名の音楽」

・欲望という名の音楽 狂乱と騒乱の世紀が生んだジャズ 著者:二階堂尚 出版:草思社(Kindle版) 「ジャズ」と言う音楽が成立していく過程で、ミュージシャンや関係者たちが社会の薄暗い部分と如何に関係してきたか…について語った作品。 ジャズが成立した…

いやぁ、数年前には犬のインスタをフォローするなんて、思ってもいなかったんですけどねぇ。:読書録「妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした」

・妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした 著者:小林孝延 出版:風鳴舎 雑誌「天然生活」の元・編集長「こばへん」さんのエッセイ。 雅姫さんのインスタをフォローしている妻が、そのラインで知って購入していました。 実は僕の方も、「犬」絡…

かなり凝った設定・物語です:読書録「法廷遊戯」

・法廷遊戯 著者:五十嵐律人 ナレーター:高野憲太朗 出版:講談社文庫(audible版) 「メフィスト賞」受賞作品で、今度映画化もされるようです。 audibleで見かけて、DL。 主人公(久我清義)が通うロースクールでは、「無辜ゲーム」という模擬裁判が遊び…

「まるでバーに入ったような小説」。うん、そういうの好きです。:読書録「世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。」

・世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。 著者:林伸次 出版:幻冬舎(Kindle版) 毎日のnoteで楽しませていただいているbar bossaの林さんの新作。 ファンタジー系の作品を集めた短編集です。 ちょっと積読があったり、audibleの積聴もあった…

ようやく一大名の調査を終えましたが…:読書録「下達」

・下達 隠密鑑定秘禄<三> 著者:上田秀人 出版:徳間時代小説文庫 母が好きな上田秀人の新刊。 帰省に合わせて読んで、実家に置いて帰ります。 松平定信の専横を防ぐために、自分が信頼できる腹心の大名を選ぼうと考える将軍・家斉。 その家斉の命を受けた…

読み始めると、最後まで行っちゃいます:読書録「あなたが誰かを殺した」

・あなたが誰かを殺した 著者:東野圭吾 出版:講談社 「加賀恭一郎」シリーズ最新作。 「あれ?<祈りの幕が下りる時>で加賀恭一郎シリーズって終わったんじゃなかったっけ?」 だったんですが、そうでもなかったようですw。 まあ「加賀恭一郎」の<過去>…

ディーヴァー版「ジャック・リーチャー」みたいになっていくのかな?:読書録「ハンティング・タイム」

・ハンティング・タイム 著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子 出版:文藝春秋(Kindle版) 「コルター・ショウ」シリーズ第4作。 3作目までは「3部作」的なつながりがあって、父親の死の裏側にある巨大な陰謀を暴く…って流れだったんですが、そこ…

ヌルいっちゃあ、ヌルいけど、持ち味でしょうね、コレは。:読書録「ワニの町へ来たスパイ」

・ワニの町へ来たスパイ 著者:ジャナ・デリオン 訳:島村浩子 出版:創元推理文庫(Kindle版) 今週に入ったら、急に気温が下がって、朝晩は寒いくらいに。 ちょっと前は冷房が欠かせなかったのに… …ということで、熱や咳は出ないんだけど、週の頭から鼻風…

ロマンチックでハッピーエンドの物語…だよね、これ?:読書録「1Q84」(再読)

・1Q84 BOOK1,BOOK2,BOOK3 著者:村上春樹 出版:新潮文庫(audible版) ハードカバーで出版された時、文庫化された時…に続いて3回目。 …だと思います。 今回はaudibleで、隙間時間にボチボチと聴いていました。 それでも終盤は気になって、一気<聴き>にな…

右肩上がりのシリーズです。:読書録「グレイラットの殺人」

・グレイラットの殺人 著者:M.W.クレイヴン 訳:東野さやか 出版:ハヤカワ・ミステリ文庫(Kindle版) <ワシントン・ポー>シリーズ、第4作。 3作目の「キュレーターの殺人」が驚くべき展開でグイグイと引っ張ってくれたんですが、本作もまた…ほとんど一…

本格推理短編小説。好きな人は好きでしょうね。(僕は好きです):読書録「可燃物」

・可燃物 著者:米澤穂信 出版:文藝春秋 <彼らは葛をよい上司だとは思っていないが、葛の操作能力を疑う者は、1人もいない。> 「葛(クズ)だからな〜。フロスト警部みたいな人格的に欠陥のある、いい加減な刑事なんかな〜」 とか思いながら読み出したん…

過去からの長い手が…:読書録「ナイフをひねれば」

・ナイフをひねれば 著者:アンソニー・ホロヴィッツ 訳:山田蘭 出版:創元推理文庫(Kindle版) 「ホーソーン&ホロヴィッツ」シリーズ第4作。 10作シリーズが予定されてるらしいですからね。 シリーズとしては折り返しにもまだ…。 でも単体として十分楽し…

ミステリ小説を読まなくなったミステリ専門書店の経営者の物語:読書録「8つの完璧な殺人」

・8つの完璧な殺人 著者:ピーター・スワンソン 訳:務台夏子 出版:創元推理文庫(Kindle版) ボストンでミステリ専門書店を経営しているマルコム。 ある日、彼の元にFBI捜査官グウェンが訪れる。 彼女は10年ほど前にマルコムが書いたブログ「完璧なる殺人8…

読み終えてみると、味のある邦題でした:読書録「処刑台広場の女」

・処刑台広場の女 著者:マーティン・エドワーズ 訳:加賀山卓朗 出版:ハヤカワ・ミステリ文庫(Kindle版) 舞台は1930年のロンドン。 コーラスガール殺人事件を解決した素人女性探偵レイチェル・サヴァナクに興味を持ち、取材しようとする若き事件記者ジェ…

見方によっては「トイストーリー3」っぽい:読書録「クララとお日さま」

・クララとお日さま 著者:カズオ イシグロ 訳:土屋政雄 ナレーター:近藤唯 出版:早川書房(audible版) 僕は「カズオ イシグロ」の良い読者ではありません。 長編で読んだのは「日の名残り」だけ。 「私を離さないで」は途中で脱落。あ、「夜想曲集」は…

なんか、読んじゃうんですよね…:読書録「ブルーハワイ」

・ブルーハワイ 著者:燃え殻 出版:新潮社(Kindle版) TV業界で裏方のようなことをしてたのが、ひょんなことから文章を書くようになって(多分最初はTwitter)、アレよアレよと言う間にベストセラー作家の仲間にりした「燃え殻」さんのエッセイ。 週刊新潮…

主人公の醒めた視線が印象的:読書録「ハンチバック」

・ハンチバック 著者:市川沙央 ナレーター:くわばらあきら 出版:文藝春秋(audible版) 最悪のしまなみ海道事故渋滞中にaudibleで視聴。 1.5倍速で1時間半くらい…を渋滞中に聞き終えたのはラッキーなんだかアンラッキーなんだか。 同乗した息子は爆睡中で…

まあ欧米(特にアメリカ)の状況に比べりゃ、まだ日本はマシとも言えますが、徐々に…って気配もあるしなぁ:読書録「世界はなぜ地獄になるのか」

・世界はなぜ地獄になるのか 著者:橘玲 出版:小学館新書 リベラル化する社会を論じる、「上級国民/下級国民」「無理ゲー社会」に続く3作目。 論点が整理されてきたのか、いろいろな事案が積み重なって評価が定まってきたのか、3作の中では一番整理して論じ…

まさかこんな展開になろうとは…:読書録「卒業生には向かない真実」

・卒業生には向かない真実 著者:ホリー・ジャクソン 訳:服部京子 出版:創元推理文庫(Kindle版) 「自由研究には向かない殺人」で、鮮烈さと清々しさを兼ね備えた10代の素人探偵として登場したピップことピッパ・フィッツ=アモービ。 「優等生は探偵に向…

確かに「旅路」w:読書録「勘定侍<七>旅路」

・勘定侍 柳生真剣勝負<七> 旅路 著者:上田秀人 出版:小学館時代小説文庫 このシリーズは母のお気に入り。 「夏休みにでも渡そうか」 と購入したまま積読になってたのを(発売は6月です)、ようやく8月に入って手に取りました。 …ま、通勤時間くらいでア…

村上さんが色々はぐらかしてるようにも読めるんだけど、多分「素」何でしょうね、アレ:読書録「みみずくは黄昏に飛びたつ」(再読)

・みみずくは黄昏に飛びたつ 著者:村上春樹、川上未映子 出版:新潮文庫(Kindle版) 「騎士団長殺し」を再読(再<聴>)して、 「そういえば村上さんに川上さんがインタビューした本で何か言ってなかったっけ」 と思いついて、購入していたKindle版をチェ…

再読(オーディオブックだけど)の方が面白かったです。:読書録「騎士団長殺し」

・騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編、第2部 遷ろうメタファー編 著者:村上春樹、ナレーター:高橋一生 出版:新潮文庫(audible版) この作品は出版された時に読んで以来、初の再読。 (audibleなんで、正確には再<読>じゃないけどw) 最初に読んだ時も…

1作ごとに面白くなる。:読書録「木曜殺人クラブ 逸れた銃弾」

・木曜殺人クラブ 逸れた銃弾 著者:リチャード・オスマン 訳:羽田詩津子 出版:ハヤカワミステリ(Kindle版) 高齢者施設「クーパーズ・チェイス」に住む4人の老人が結成した「木曜殺人クラブ」の活躍を描く第3弾。 クリスティの「火曜クラブ」を連想され…

監督がいなくなっちゃったことに、改めて気づいてしまいました。:読書録「ぼくの大林宣彦クロニクル」

・ぼくの大林宣彦クロニクル 著者:森泉岳土 出版:光文社(Kindle版) 大林宣彦監督の映画を映画館で見たのは「なごり雪」(2002年公開)が最後。 制作が一番新しい作品は「転校生 さよならあなた」(2007年公開)をレンタルで観たのが最後ですね。 15年く…

なんだかモヤモヤが残っちゃいました:読書録「両手にトカレフ」

・両手にトカレフ 著者:ブレイディみかこ ナレーター:高山ゆきの 出版:ポプラ社(audible版) ブレイディーみかこさんの初の小説。 「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」が好きなので、出版されてすぐにリアル本で購入したのですが、今まで手…

短期間、有料版を試してみたいと思います。:読書録「ChatGPTと語る未来」

・ChatGPTと語る未来 AIで人間の可能性を最大限に引き出す 著者:リード・ホフマン、GPT−4 訳:井上大剛、長尾莉紗、酒井章文 出版:日経BP(Kindle版) ChatGPTを開発したOpenAIの出資者の1人であるリード・ホフマンが「ChatGPT」について語った本。 …「で…

今読むとナカナカすごい作品。…だけどやっぱりシンドイw:読書録「ねじまき鳥クロニクル」

・ねじまき鳥クロニクル 第1部・泥棒かささぎ編 第2部・予言する鳥編 第3部・鳥刺し男編 著者:村上春樹 ナレーター:藤木直人 出版:新潮社(audible版) 村上春樹さんの長編は時間を空けて何回か読むんですが(最近の「騎士団長殺し」と新作「街と、その不…