鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

さて、宮崎駿さんはどう見たかな?:映画評「ソウルフル・ワールド」

ピクサーの新作。

ディズニー+の配信で視聴しました。

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いやぁ、こんな話とは全然予想してませんでした。

予告編を見て想像してたのは、

 


「アクシデントで死んじゃった主人公が、生き返るために、生まれることを恐れている<魂>に、<生きることの素晴らしさ>を、音楽を通じて教えて、導いていく」

 


…みたいな。

…全然違ってたw。

 


でも、これはいい映画だと思います。

アニメーション表現としても、この質感は凄い。(世界は美しい!)

そしてその「質感」があってこその、この「テーマ」。

ピクサー版「君たちはどう生きるか」。

宮崎駿さんは、この映画をどう見るのかなぁ。

 


<以下、ネタバレを含みます。観る予定がある方は読まないでください。観る価値はあると思いますよ>

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「何のために生きるのか?」

「人生で何を成し遂げるのか?」

「生きる目的は何か?」

「価値ある<生>とは何なのか?」

 


…ジャズミュージシャンになりたかった主人公は、そのチャンスを目前にアクシデントによって死んでしまいます。

その悔しさから、蘇ってチャンスを手にすることために悪戦苦闘するのが、本作のメインストーリー。

 


でも人は「何かを成し遂げるため」に生きてるんだろうか?

「何か」を成し遂げなければ、生きる<価値>はないんだろうか?

 


本作はそう問いかけます。

「生きること」そのこと自体に価値があるのではないか、と。

 


50過ぎて、まあ、「何者」かになることはない(少なくともノーベル賞を取ることはなw)おっさんには、沁みますわ、こりゃ。

そして振り返れば、「そうだよな」と感じることも確かです。

「何かを成し遂げる」ってのも、重要ではあるんだけど、そのためだけに「生きてる」わけじゃないだろう、と。

 


…う〜ん、ちょっとうまく説明できないなぁ…w。

 


もちろん世の中にはものすごく苦しい「生」を生きている人もいます。

その人に同じことを言えるかどうか、それは僕にも何とも言えません。

言えないんだけど、「歴史に何も残すことができなかったんだから、あなたの人生は無意味だったんだ」とも言いたくない。

そうだとは思いたくない。

 


アニメ映画なんだけど、全然子供向けじゃない、大人に響く作品です。

中・高校生くらいには見て欲しいけど(僕の子供にも)、分かってもらえるかな〜。

まあ、分かったら、

「将来どうするつもりなんだ、何かやりたいことないのかとか言うなよ!」

って言われそうだけどw。

 


いや、いい映画ですよ。ほんと。

この後の展開の方がフィクションみたいと言う…(現在進行形):映画評「Death to 2020」

Netflixオリジナル作品。

ブラックなSFドラマ「ブラックミラー」シリーズの製作者が作った「2020年を振り返る」作品。

フィクションとドキュメンタリーフィルムを交えて、ブラックユーモアっぽい作品に仕上げています。

さすが「ブラックミラー」の…って、僕は「ブラックミラー」は1、2作品しか観てないんだけどw。

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意外にも、見終わると、

「ああ、こういう一年だったなぁ」

と思う出来になっています。

バランスも取れてるし、事実関係も(意外なほど)押さえている印象。

見る価値はあると思いますよ。(1時間ちょっとだし)

 


問題(でもないけど)は、主要なテーマの一つである「アメリカ大統領選」の結果が、年明けに「映画もビックリ!」のとんでもない展開になってること(まさか議事堂に暴徒が突っ込むとは!)と、新型コロナ禍がまだ収束してないことですかね。

「1年」という括りでは語りきれないってのが「誤算」と言う、そのこと自体が「ブラック・ユーモア」っぽいとでも言いましょうか…。

改めて、

「もしかしたら<歴史>に残る何かを僕らは経験してるのかも」

と考えさせられもしました。

 


そういう作品をネットフリックスが作る。

 


ま、それ自体が2020年を象徴する出来事…でもありますかね。

論理的に考えればこうなる…けど、それが「正解」とも、「その通りになる」とも限らない:読書録「自分の頭で考える日本の論点」

・自分の頭で考える日本の論点

著者:出口治明

出版:幻冬舎新書(Kindle版)

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年頭の読書用に購入した一冊。

成毛さん同様、出口さんも「本、出し過ぎ」ですがw、コレは年始に頭を整理するのに良さそうだったので。

内容は2018年の連続講座をベースに、コロナ等の最新トピックも加えて整理したもの。

取り上げた時事問題について、概要を整理した上で、「タテ・ヨコ・算数」の視点から出口さんが「論理的」に考えた意見を述べています。

 


<タテ、すなわち昔の歴史を知り、ヨコ、すなわち世界がどうなっているかを知り、それを算数すなわち数字・ファクト(事実)・ロジック(論理)で裏づけていく。>

 


取り上げられているのは、以下の22の論点です。

 


・日本の新型コロナウイルス対応は適切だったか

・新型コロナ禍でグローバリズムは衰退するか

・日本人は働き方を変えるべきか

・気候危機(地球温暖化)は本当に進んでいるか

・憲法9条は改正すべきか

・安楽死を認めるべきか

・日本社会のLGBTQへの対応は十分か

・ネット言論は規制すべきか

・少子化は問題か

・日本は移民・難民をもっと受け入れるべきか

・日本はこのままアメリカの「核の傘」の下にいていいのか

・人間の仕事はAIに奪われるのか

・生活保護とベーシックインカム、貧困対策はどちらがいいのか

・がんは早期発見・治療すべきか、放置がいいのか

・経済成長は必要なのか

・自由貿易はよくないのか

・投資はしたほうがいいか、貯蓄でいいか

・日本の大学教育は世界で通用しないのか

・公的年金保険は破綻するのか

・財政赤字は解消すべきか

・民主主義は優れた制度か

・海外留学はしたほうがいいのか

 


「論理的に考える」というのは、「前提さえ同じであれば、誰もが同じ結論になる」ってことですからね。

概ね出口さんの言ってることは理解できます。

もちろん「基礎知識」となる部分に誤認があったり、状況が変化したりすることもあるし、最終判断に際しては、その人の人生観や思想・論理感が影響するところもあるので、「必ずそうなる」ってもんでもないんですけど。(論点で言えば、「死生観」が関係するところは、僕は出口さんとは微妙なズレを感じました)

 


<ジャッジのなかには、世界標準で考えてこれが正解だと思うものもあれば、僕なりの価値観や人生観に基づいた主観的なものもあります。コレは、いってみれば僕の「ファクトフルネス」です。>

 


もちろん、その点は出口さんも認識されてます。

 


「付録」には「自分の頭で考える10のヒント」なる記載もあって、考える上のスタンスとしては、これは参考になるかな、とも思いました。

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個人的には出口さんが「読み違えた」案件として「ライフネット生命」に関する顛末を詳しく知りたい気持ちはあるんですけどね。

あれは「論理的には正しいけど、結果としては思うようにならなかった」ビジネスプランだと思うんですけど。

(「失敗」とも言い切れませんが)

 


難しいかな?

「当たるも八卦、当たらぬも八卦」…よりは的中率は高いと思います:読書録「2040年の未来予測」

・2040年の未来予測

著者:成毛眞

出版:日経BP社(Kindle版)

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僕は割と「成毛ファン」なんですが、ここのところあまりにも出版数が多いのでw、ちょっと遠ざかっておりました。

でもどうやら「出版」をひと段落させるおつもりのようですね。

「じゃあ、お付き合いしましょうか」

というのと、年末年始に読むのにふさわしいかと思って、本書を購入しました。

 


いわゆる「未来予測」もの。

「未来予測は当たらない」ってのが定説ではありますが、本書は「現在ある技術の延長線上で<2040年>を予想する」という内容なので、比較的「的中率」は高そうです。

ま、その分、「ええ!そんな!」みたいなことはありませんが、それでもここに書かれてることが実現したら、そりゃ社会は様変わりですな。

 


体系立てて記述されてるものでもないようですが、大きく以下の4パートに分かれています。

 


①テクノロジー

②経済(年金、税金、医療費)

③衣食住

④自然災害

 


②と④は暗いトーン。

ただこれは的中率も高い分野。

そこら辺を①③で取り上げられているテクノロジー(キーは5G・6Gによる情報の大量・即時流通)でどこまでカバーできるかってのが、今後の20年の日本社会の大きな命題になるんじゃないかなぁ。

そこに「希望」はある。

ただその「実行力」が、日本社会にあるのかどうか。

 


案外、「コロナ」はその実行力を後押しするかもなと思ったりもします。

そこが全然「ダメ」だったのが露わになったのが今までのコロナ対策の経緯だったとは思うんですが、その「ダメさ」加減があまりにも明確だっただけに、さすがに手を入れる方向に動くのではないか…と。

「デジタル庁」や河野大臣の「行政改革」の流れはその表れのようにも思います。

 


もっとも今現在は「第3波」の最中で、この動きもどうなるかってところもありますが(菅政権への信頼度が下がっているので)。

本書でも指摘されてる個人情報のデジタル一本化・把握(今はマイナンバーをキーにやろうとしています)は絶対に必要だと思うんですけどね。

 


ここがうまく乗り切れないようだと、日本社会全体を考えるんじゃなくて、「個人」としてのあり方を考えざるを得ないということかもしれません。

その観点からも「テクノロジーの見通し」は重要なので、本書は役に立つと思います。

 


2040年。

75歳かぁ。

自動運転と医療技術の進歩には期待したいなぁ。

 

自分が如何に「若手俳優・アイドル」を知らないかを痛感…:ドラマ評「教場Ⅱ」

3日・4日で前後編での放送を視聴。

もともと原作が好きで、そっから入ったんですが、ドラマもなかなか見応えありました。

続編も楽しみました。

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しかしこれ、絶対「続編」あるやん!

…の展開。

「教場0」でしょうか?

またドラマスペシャル?

それとも映画とか?

楽しみではあります。

あんまり間を開けんで欲しいけどな〜。

 

 

とはいえ、ちょっと困ったことも。

出ている俳優さんの区別がつかないw。

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生徒サイドで言えば、「濱田岳」はまあ、わかるんですよ。

「色」が濃い「矢本悠馬」もまあ。

しかしそれ以外は…。

特に女優陣の方は壊滅的と言ってもいい状況。

制服姿で、髪型も似たようなスタイルになってますからね〜。

 


一緒に見てた妻と娘はちゃんと区別がついてたようですので、僕だけが苦労してたようです。

普段、見ませんから。日本のドラマやバラエティ。

そうやって取り残されて、老いていく…。

 


ドラマを楽しみつつも、一抹の寂しさも感じたりしましたw。

 

もうちょい、スカッとする話かと…:映画評「カセットテープ・ダイアリーズ」

事前のイメージとしては「イエスタディ」みたいな感じを予想してたんですが…(ま、あっちはファンタジィ、こっちは実話ベースですけど)。

思ったより、重くて、ハッピーエンドではあるものの、そこまでスカッとした感じもなく…。

まあ、「スプリングスティーン」ですからね。

そんな「ハッピー青春もの」になるわけないかw。

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むしろ中途半端に「ハッピー青春」が入ってくるのが作品としてのトーンを中途半端にしてるかもしれません。

バザーでの「サンダーロード」とか、ノリとしては最高!なんですが、作品全体の展開の中では能天気すぎるシーンになってる気もせんでもない。

いや、盛り上がるし、楽しいんですけどねぇ。

アメリカに行く際の税関のノリとかもいいんだけど、これもまあ…。

 


80年代後半(87年〜88年)。

若者にはスプリングスティーン自体は「時代遅れ」になりつつあって、「シンセこそが未来」という友人もいる。

スプリングスティーンの曲もグッとくるんですが(ここら辺の演出は面白いです)、その時代のヒット曲も、また懐かしく楽しめます。

ペット・ショップ・ボーイズとかね。

 


トータルとしては

「期待してたほどじゃなかったけど、楽しめた」

ってのが僕の感想。

英国でのパキスタン人移民の立ち位置とか、普段は見えないところを見せてくれるってのもあります。

「ハッピー青春もの」を期待しなければ、いい映画なんじゃないかな?w

再読なんですが、今回の方がずっと面白かったです。(時間もかかりましたがw):読書録「小説イタリア・ルネサンス1 ヴェネツィア」

・小説イタリア・ルネサンス1  ヴェネツィア

著者:塩野七生

出版:新潮文庫

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正月休みに一気読みしようと思って4巻をまとめ買いしたんですが、結局読めたのは1巻だけw。

まあ犬と遊んだり、ちょこちょこ用事したり、犬と遊んだり…と色々ありまして。

 


じゃあ「面白くなかったか」というと、そんなことはなくて、かなり楽しめました。

本書は93年に出版された「緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件」の再販になるんですが、以前読んだ時より(多分、出版されてすぐに購入しています)ずっと興味深く、面白く読むことができました。

 


まあ、最初に読んだ時は「<聖マルコ殺人事件>ってあるけど、全然ミステリーちゃうやん」って戸惑いがあったってのもあるんですよ。

でも今回との一番の差は「ネット検索の有無」。

93年と言えば、Google(98年)もiPhone(07年)もない時代ですからね。

「ネット検索」なんか、全然「ふつー」じゃなかった時代。

そのころ、こう言う本を読んで、「さて時代背景は…」と思ったら、図書館で本を調べるしかない。

当然そんな面倒をするはずもなくw、一気読みして、「なるほどね〜」とは思ったものの、どこまで史実だったかはあんまり把握してませんでした。

(「あとがき」くらいには解説があったかな?

僕の当時の知識としては「スレイマン1世」と「イブライヒ」は漠然とあったくらい。「ロクサーヌ」は知らなかったと思うし、「アルヴィーゼ」とかは全然でした)

 


今回読むにあたっては「ネット検索」の助けをかなり借りました。

「アルヴィーゼ・グリエッティ」の事蹟をフォローしつつ、「スレイマン1世/イブライヒ・パシャ/ロクサーヌ」の関係性も追いかけ…と、小説を追うよりも、そっちの方に熱心になったくらい。

危うく「オスマン帝国外伝 愛と欲望のハレム」に突入しそうになりましたが、辛うじて回避しましたw。

 


結局、この本はある程度西洋のこの時代の知識がある人じゃないと楽しみきれないって作品だったんですよね。

出版当時はそこまでリーチできる人は限定されていた。

それが「ネット検索」を使うことで、ある程度のところまでは踏み込める読者が増えてきた…と言うことではないか、と。

当然、僕は後者なわけですがw。

その分、読む時間はかかるようになりましたがね。

 


さて、2作目は「フィレンツェ」。

メディチ家が題材となります。

こちらの事前知識はちょっとあったので、初見の時も楽しめた記憶があります。

今回はもっと楽しめるかな?

続けて読むのは疲れそうなんで、ちょっとおいてから着手することにしますw。