鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「スペンサー」シリーズとして観ちゃいけない:映画評「スペンサー・コンフィデンシャル」

マーク・ウォールバーグ主演のNetflixオリジナル。

ロバート・B・パーカーのあの「スペンサー・シリーズ」の映画化。

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…なんですがねぇ。

う〜ん、これをスペンサー・シリーズとしては…。

 


まあ、マーク・ウォールバークの「スペンサー」の方は百歩譲るとしても、「ホーク」が…。

「ホーク」役の)ウィンストン・デュークの演技がどうのこうの言うんじゃないんですよ。

ただただ「これは<ホーク>じゃない」。

「ホーク」はスペンサー以上にクールで、そして圧倒的じゃなきゃ‼︎

 


「コミンスキー・メソッド」が最高だったアラン・アーキンも、本作では「どういうポジション?」って感じだし、「スペンサーの彼女はこんなんちゃうわい」とか…スペンサー・シリーズの熱心な読者じゃない僕でもソコココで文句をつけたくなっちゃう。

 


「じゃあ、まあスペンサー・シリーズとは別モンと思って観たら」

…これまた結構「微妙」な出来w。

ラストの「ツッコミ」は好きですが。

 


「マクマホン・ファイル」ほどの「えっと〜…」感はないけどw、あんまりオススメできるような作品ではないかもしれません。

少なくともパーカーの「スペンサー」シリーズがお好きな方は、血圧のためにも避けた方が賢明ですw。

ある意味、トンガった意見をお持ちのお二人w:読書録「最後の授業 完全版」大林宣彦、西原理恵子

・最後の授業 完全版 大林宣彦

・最後の授業 完全版 西原理恵子

出版:主婦の友社

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NHKで放映した「最後の授業」を書籍化した2冊。

…って番組の方は見てないんですけどw。

 


まあ、当たり前の話ですが、「相変わらずですなぁ」って感じではあります。

 


西原さんは「女の子の自立」について、やや過激&下品wな話っぷりで、でもまあ的を射た話をしています。

土佐女子退学から、エロ本挿画時代、身銭を切った体験漫画に、アルコール依存症&DV旦那…とサバイバーとしてはかなりの経験をお持ちですので。

個人的には鴨ちゃんの話を美談にし過ぎたのと、ダーリン(高須さん)を放置し過ぎってのがマイナスですがw。

「娘に…」

と思って購入したんですが、この「下品っぷり」にはちょっと躊躇しちゃいます。

(妻は「いいんじゃない」と言ってますw)

 


大林監督もまあ、「相変わらず」。

ただここまで「反戦」を強く打ち出したのは(書籍では)あまりなかったかも。

個人的には「映画におけるフィロソフィー」のあり方ってのには思うところもあるんですが、大林監督について言えば、確かに一本筋が通ってる。

3.11以降はさらにその傾向が強くなって、結果として僕について言えば、大林作品から足が遠のいちゃてると言う…w。(内容より、上映時間かな、ハードルは)

「余命宣告」されながら作品を撮り上げ(花筐)、「最後の授業」(放映は2018年)から、更に新作を完成させてらっしゃいます。

なんかマダマダお元気な気もしなくもない(そうあって欲しい)。

「海辺の映画館」、観に行こうかな。

 


2冊とも気楽に読めて、それでいてエッセンスは伝わる本になってます。

この二人の話は、どっかでは聞いといた方が良いと思いますし。

そういう意味じゃ、入門書としてイイじゃないかなぁ。

 

「批評」に力を取り戻せるか?:読書録「遅いインターネット」

・遅いインターネット

著者:宇野常寛

出版:幻冬舎

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単に机上での「批評」だけではなく、具体的なアクションを伴った批評活動を続ける作者が、<アラブの春>や<トランプ現象>を踏まえて、「ポピュリズム」に毒された「民主主義」を再起動させるさせるために、どうすればいいかについて考察した作品。

(幻冬舎の箕輪厚介氏と作ったらしいんですが、業界人から結構反対されたってのが結構面白かったです)

 


・<「境界のある世界」の住人=Somewhere>と<「境界のない世界」の住人=Anywhere>の分断

・「日常/非日常」「自分の物語/他人の物語」という軸からの20世紀・21世紀メディアの分析

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・吉本隆明の「共同幻想論」「ハイ・イメージ論」の再解釈と、その実践としての「ほぼ日」の戦略の位置づけ

 


最初の「東京オリンピック招致」のあたりの話はチョイとグチっぽくて閉口しましたがw、以降はグイグイ読まされた感じ。

ナイアンテック(ポケモンGo)の拡張現実ゲームの戦略を、<日常/自分の物語>の象限で語るあたりも面白かったです。

ソーシャルメディアが中心となった現在のメディアにおいては、自己幻想が共同幻想も対幻想の消費してしまう…なんてのもナカナカ刺激的な指摘。

 


それらを踏まえて作者が提案する「戦略」は何か?

 


第一の提案:民主主義と立憲主義の対立では、立憲主義を支援せよ

第二の提案:情報技術を用いて、選挙とデモの中間に、あたらしい政治参加の回路を作る

第三の提案:自己幻想からの「自立」として「遅いインターネット」プロジェクトの展開

 


「遅いインターネット」とは何か?

 


<この国を包み込むインターネットの(特にTwitterの)「空気」を無視して、その早すぎる回転に巻き込まれないように自分たちのペースでじっくり「考えるための」情報に接することができる場を作ること。Google検索の引っかかりやすいところに、5年、10年と読み続けられる良質な読み物を置くこと。そうすることで少しでもほんとうのインターネットの姿を取り戻すこと。そしてこの運動を担うコミュニティを育成すること。そのコミュニティで、自分で考え、そして「書く」技術を共有すること。>

 


ある意味これは「批評」というものに、「現実社会」を変えていくだけの「力」を改めて与えるための試みと言えるんじゃないか、と僕は読みました。

だからこそ、かつて「現実を変える力」を持った批評家であった「吉本隆明」を取り上げているのではないか、という観点からも。

 


そのために作者はWEBマガジンを立ち上げ、読者の発信力を引き上げ、共有するためのワークショップを立ち上げているようです。

 


なるほどね〜。

正直、僕自身はそれをどう評価していいか、現状、何とも言えません。

大筋において「そうだろうな」とは思います。

思うんですが、

「本当にそれで良い方向に社会は回るようになるのかな」

すなわち、それだけの「インパクト」を(長期的であれ)生み出すことができるのか、という点に…。

 


ただまあ、グダグダ言ってるだけじゃ何もうまれませんからね。

世の中をいい方向に変えていくための「第一歩」を踏み出したことは評価すべきだし、その「宣言の書」として本書は力強いものを確かに持っていると思います。

彼らが生み出すものが何をもたらすか。

それを見てみたい気持ちも確かにあります。

(僕自身は「コミュニティ」というものに、内部での権力性みたいなものが感じられて苦手なんですけど)

 


ウエブマガジン。

読んでみますかねぇ。

 


<遅いインターネット>

https://slowinternet.jp/

 

 

 

「大江戸捜査網」も「ミッション・インポッシブル」も大好きです:読書録「大江戸ミッション・インポッシブル」

・大江戸ミッション・インポッシブル 顔役を消せ・幽霊船を奪え

著者:山田正紀

出版:講談社文庫

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題名が「ミッション・インポッシブル」で帯に踊るのが「大江戸捜査網」。

作者のベテラン作家・山田正紀氏もわりと好きなので、ホイホイと手に取りましたw。

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テンポよく、色んなキャラが登場して、活躍するってのは、楽しめると言えば、楽しめる。

でも「オススメ!」と言えるかどうかは…。

 


こう言うのって多分こんな展開がベースなんだと思うんですよ。

 


①冴えない主人公の日常の描写

②悪人たちの暗躍

③「実は!」で主人公たちの活躍

④悪人サイドの「組織」の登場

⑤主人公たちの組織と悪人たちの組織の対決

⑥お互いの組織が磨耗していく中で、「過去の因縁」の表面化

⑦因縁を巡った最後の決戦

 


コレをやろうと思ったら、結構な長いシリーズもんになっちゃう。

そういう要素を持ちながら、本書はそれを上下巻にギュッと圧縮。

…なんで、なんか「アレアレ、え?コレってどうなってんの?」みたいな感じで、感情的に置いてかれちゃう感じがするんですよね。

(だいたい、ヒロインはどこへいっちゃったの?)

5シリーズくらい続いた人気ドラマの、最終回2時間スペシャル前後編「だけ」を見せられる感じと申しますかw。

 


個人的にはもうちょい伝奇的な要素を強くして欲しかったかなぁ。

ベテランらしく、読みどころは確かにあるかなって作品。

こういうお遊び的な題名の付け方も嫌いじゃないです。

しかしまあ、一般受けするかどうかは「?」ですかねw。

自民党本部主催の講義がベースというのが驚き:読書録「日本近現代史講義」

・日本近現代史講義 成功と失敗の歴史に学ぶ

編著:山内昌之、細谷雄一

出版:中公新書

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<本書は2015年12月から2018年7月まで、自由民主党本部で行われた「歴史を学び未来を考える本部」での講義をもとに、その内容を新書形式にまとめたものである。>

 


という「おわりに」の編者(細谷雄一氏)の文章にちょっとビックリ。

いや確かに「らしい」ところもないではないんだけど(冒頭の中韓の歴史認識のあり方に対する愚痴とかw、憲法改正への評価とか)、全般的には日本的保守陣営の「歴史認識」とはズレるところがあるんじゃないかなぁ…とも。

まあ、日本的保守陣営の「歴史認識」ってのは、どっちかっていうと「俯瞰図」(物語、フィクションといってもいい)的なとこが強いですからね、本書は「歴史観」を意識しながらも、実証史学の成果を踏まえつつ、アップデートした「歴史観」の構築を志向してると言えるかもしれません。

(ちなみに日本的リベラルも同様に「俯瞰図」に囚われてるし、アップデートもされてないと僕は思ってます)

 


取り上げられているの以下の13視点(+総論)。

 


1 立憲革命としての明治維新

2 日清戦争と東アジア

3 日露戦争と近代国際社会

4 第一次世界大戦と日中対立の原点

5 近代日中関係の変容期

6 政党内閣と満州事変

7 戦間期の軍縮会議と危機の外交

8 「南進」と対米開戦

9 米国の日本占領政策とその転換

10 東京裁判における法と政治

11 日本植民地支配と歴史認識問題

12 戦後日中関係

13 ポスト平成に向けた歴史観の問題

 


僕の個人的興味というか、認識は、

 


「経済的に豊かになり日本をキャッチアップした中国・韓国では、ナショナリズムが高揚し始め、結果として発展期には直視されなかった<日本>に対する複雑な感情が表面化してきている。その感情的連帯で中韓(+北朝鮮)が連携する可能性がある一方で、経済的に相対的に衰退する日本は難しい舵取りを今後は取ることを余儀なくされる」

 


…というところにあります。

その観点から言えば、特に「11」「12」「13」あたりは非常に参考になったし、考えさせられました。

他の視点も、全体の「流れ」に関しては知識としてありましたが、その「評価」という点では興味深いものも少なくなかったです。

(僕は卒論に「東京裁判」を取り上げてるんですが、「10」を読んで、当時の自分の思想性を突かれた思いがありました。避けたつもりだったんですがね)

 


日本の中高の歴史教育では日本近現代史は「駆け足」(あるいは無視w)ですが、今後の地政学的なポジションを考えると、「近現代史」こそが歴史教育の焦点となるべきだと、僕は思っています。

まあそうなるにはかなりゴタゴタしそうですが、その「ゴタゴタ」も含めて、必要なんじゃないか、と。

 


相対的に貧しくなることを甘受して、アメリカの使いっ走りで済ませるつもりなら別ですがね。

さて、講義を受けた自民党の先生方はコレをどう活かしてくれるんでしょう。

 

 

 

バリー・シールの裏表:映画評「マクマホン・ファイル」

アン・ハサウェイ、ベン・アフレック、ウィレム・デフォー出演のNetflixオリジナル。

豪華出演陣なんだけど…

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海外評やネット評を見るとズタボロw。

まあ基本的にイラン・コントラの知識がないとキツいってのがありますが(僕もあんまりない)、「今、コレ?」って感じもあるかなぁ。

そういう観点から言うと逆にトム・クルーズの「バリー・シールズ」は「巧くやったなぁ」感があります。

 


メイクであまり作り込んでないのアン・ハサウェイは「熱演」とは思いますが、ちょっと勿体なかったかな。

バリバリの硬派ジャーナリスト

の出だしは良かったんだけど、父親(ウィレム・デフォー)の代わりに泥沼に足を突っ込んだあたりから、

「何がしたいの?」

ってのがチョット見えなくなったと言うか(記事が書きたいんだろうけどさぁ)、キャラが定まんなくなったと言うか…。

脚本がまあ、もうチョイ整理が必要な感じがありましたね。

 


出演陣の「大ファン」なら観ても良いかも。

サスペンスやアクションを期待すると「…」です。

第11回は東京だけだったのね:村上RADIO第12回

2週続けての村上RADIO…と思ったら、1回はtokyoFMのみでした。
「う〜ん、エリアフリーにこのためにするのもな〜」
と思ってるうちに次の週になっちゃいましてw。

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例によって詳しい内容はHPにアップされてます。
前回のもアップされてますから、フォロー出来ます。
…っつうか、コレ読めば大体ええんちゃうかって気も…w。

https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/

 

ジャズボーカル、好きなんですよね。
それもゴリゴリじゃないあたりw(いや、ビリー・ホリディもサラ・ヴォーンも良いんですけどね)。
その線から行くと、この選曲は行けます。

 

う〜ん、Apple辺りと契約してPodcastかなんかやってくれませんかね。
1週間で消えちゃうのはやっぱチョット惜しい。
そこがイイ
…と春樹さんは思ってるのかもしれませんがねw。